作成例 †
実際に朱鷺魅を使用して文庫本を作成する例を示します。
作成の手助けとなれば良いと思います。
詳しい製本の手法については『文庫本作成法』をご参照ください。(宣伝)
■ 文庫本作成法(DLsite.com)
準備 †
- 威沙動作環境
『PDF作成までの手順』を参考に準備してください。
- 製本道具
- 裁断機
事務機器店で売られている普通の裁断機で十分だと思います。
- ホットボンド
熱で溶け、冷えると固まることにより、紙などを強力に接着する事が出来ます。
背固めに使用します。
- アイロン
背固めを行ったホットボンドを平らにするために使用します。
ホットボンドを塗り込むとでこぼこしてしまい、表紙の取り付けがやりにくくなります。
そこで、後述のキッチンシートと組み合わせ、背を平らにします。
また、表紙の取り付けにも使用します。
- キッチンシート
熱に強く、フッ素などの加工がされているため、ホットボンドが着きません。
これを利用して、アイロンと背固め済みの本との間に挟み込み、背を平らにする処理を行います。
少し大きめのスーパーなどで普通に売られています。
- カッター
普通のカッターです。
表紙のカッティングなどを行うために使用します。
- ハサミ
アイロンとキッチンシートで背を平らにしたときに出るバリを切るために使用します。
印刷データ作成 †
威沙による印刷データの作成は、『PDF作成までの手順』及び『生成データ例』を参照してください。
なお、以降の例ではプロファイルを『A6(文庫サイズ)』、出力形式を『平綴じ』としてPDF生成したものをA5用紙へ印刷した例となっています。
製本 †
印刷 †
生成したPDFをAcrobat Readerなどで読み込み印刷を行います。
このPDFデータは両面印刷向けのデータですので、両面で印刷を行う設定をしてください。
これは各プリンタごとに違いますので、プリンタのマニュアルなどを確認してください。
(奇数・偶数単位で交互に印刷して両面ということももちろん可能ですが)
なかなか思った位置に印刷されない場合がありますので、その辺は根気よく調節してみてください。
また、印刷直後の紙には、かなりきつい反りが入ってしまっています。(特にレーザプリンタの場合)
これでは正確に裁断する事はできませんので、一日近くは重石を載せて、紙が平らになるのを待ちましょう。
(重石の載せ方は、用紙より大きい本に挟んでおくようにした方が良いようです。同じ大きさの本だと重みが伝わりきらずに、よれが残ってしまいました)
裁断 †
プロファイル『A6(文庫サイズ)』、出力形式を『平綴じ』として生成したデータは、A5用紙向けのデータであり、印刷した紙を真ん中で切断して重ね合わせるだけでページを揃える事が出来ます。
紙の裁断には、はさみやカッターも使用できますが、確実なのは裁断機を利用することです。
また、この裁断を正確に行わないと、ホットボンドが上手く着かずに、落丁を起こしやすくなりますので、丁寧に作業しましょう。
■ 作成中の様子(切断作業中)
揃え †
裁断した紙を揃えておきます。
この揃えにおいてズレが大きいと、あとの出来に響きますので、綺麗に揃えるようにしましょう。
わたしの場合には、写真のような器具を作成して、揃え・押さえが綺麗にできるようにしました。
■ 作成中の様子(手前は背固め前の揃え中、奥は背固め済みの冊子)
背固め †
ホットボンドを使用して、背固めを行います。
固定した紙束の背に、満遍なくグルーを塗りつけます。
ただし、あまり厚塗りしないようにしてください。
厚塗りしすぎると、この後の工程で再圧着を行うときに熱が十分に伝わりにくくなってしまい、落丁修正がやりにくくなってしまいます。
背固め(平滑化) †
アイロンとキッチンシートを使用して、でこぼこになっているホットボンドを平らにします。
キッチンシートを挟み込んでアイロンを当てると、ホットボンドが溶け出し、平らにすることが出来ます。
ここで少し強めに押しておき、きちんと紙が接着されるようにしてください。
終わった後は、キッチンシートをはがさず、熱が冷めるのを待ちましょう。
冷えて固まると、キッチンシートは自然にはがれます。
冷えてからキッチンシートをはずし、平滑を行った後にボンドが足りない場所が無いかを確認してください。
ボンドが薄すぎだと思った場合には、その箇所にボンドを追加して、再度平滑化を行ってください。
ここで一度、圧着した本を確認し、ページが抜けないかを確認してください。
もし、ページ抜けが発生していた場合には、再度平滑化の作業を行ってそのページが張り付くようにしてください。
この平滑化の時には少し強めに押しておく方がよいでしょう。
バリ取り †
平滑化の作業を行った後、背からははみ出したボンドが出ていると思います。
これらのバリは、表紙の圧着時には邪魔ですので、ハサミで切り落として起きます。
ただし、中表紙・中裏表紙に着いているボンドを完全に取り去ってしまうと、表紙の厚紙の接着力が弱まりますので、
多少残すようにしておいた方が良いようです。
表紙取り付け †
厚紙で作成した表紙を取り付けます。
この厚紙の寸法は、背固めまで終わった状態で採寸した方が良いでしょう。
作成する本の単位で若干の誤差がありますので、厚紙は実際の本にあわせて折り目を付けてから、
圧着に入ります。
圧着はアイロンを使用します。
背固め済みの本に対して、厚紙を載せてアイロンを押しつけます。
こうすると、ボンドが再び溶け出して厚紙が背に張り付きます。
背が着いたことを確認し、今度は表紙・裏表紙を完全に折り曲げ、はみ出たボンドとの貼り付けを行うため、
表紙・裏表紙からアイロンを押しつけて、張り付かせます。
わたしたちの本では、表紙に使用した厚紙は厚手のインクジェットの紙を使用しましたが、
これが非常に熱に弱いので、アイロンの温度をあまり上げない、長時間押しつけないという注意が必要です。
仕上げ †
中身の本自体は、表紙取り付けで終わりですが、実際にはカバーの取り付けなどを行うことも出来ます。
今回の場合にはカバーを、インクジェットの用紙で作成しました。
このカバーの寸法も本が出来てから行わないと、サイズの微妙な狂いにより再度作成を行わなくてはならなくなる可能性があります。
ところで、インクジェットの印刷物は表面がべたついてしまい、良い手触りとは言い難いです。
そのため、わたしたちは透明の本カバーを取り付けることにより、この問題を回避していいます。
印刷済みインクジェット用の定着剤でもあれば、この問題も解決できるらしんですけどね。
作成見本 †
・・・作成例なので手前味噌っぽくなってしまうのはご了承を・・・
■ 表紙
■ 裏表紙
■ 開いたところ
■ 作成中の様子(切断作業中)
■ 作成中の様子(背固め前の揃え中)
■ おまけ(並べてみたところ)
・・・画像が大きすぎました・・・
後で張り直します・・・